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アントグループ、デジタル人民元の開発に関与

中国アリババ傘下の大手フィンテック企業・アントグループが、デジタル人民元の開発に関与してきたことを明らかにした。26日、 South China Morning Postが報じた

アントグループと中国人民銀行(PBOC)との協力関係は、2017年から始まっていたという。

週末にかけて福建省の福州市で開催された「チャイナ・デジタル・サミット(China Digital Summit)」では、アントグループだけではなくテンセント・ホールディングスも PBOCとの開発協力をアピールした。

同イベントでは、アントが2017年にはデジタル人民元の調査や開発を依頼されたほか、アントが後ろ盾となっているオンライン銀行「MYbank」がデジタル人民元を流通させる事業者の1つとなったと発表された。

またPBOCは2019年6月にデジタル人民元のアプリ開発のために、アントのモバイルアプリ開発プラットフォームを活用。2020年7月にアントはデジタル人民元の公式試験に踏み出した。そして同年の12月から現在に至るまで、上海をはじめとした中国各地でデジタル人民元を試験的に運用し始めているという。

今回、アントやテンセントがデジタル人民元開発に関わっていることが明らかになったが、他にもファウェイやJD .comといった大手テックが開発に携わっていることがわかっている。

一方で、アントが昨年11月に予定していた史上最大級のIPO(株式公開)が、中国当局に差し止められたのは記憶に新しい。

当時、アリババの創業者である馬雲(ジャック・マー)氏が、中国政府に対して批判的な発言をしたことで、IPOが急遽中止になったのではないかと囁かれている。実際、中国当局はアントに事業再編を命じており、規制の強化を推し進めている。

中国は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元の開発に注力している世界有数の国だ。その中国政府が民間企業と協力して積極的にデジタル人民元を開発している背景には、国内大手企業によるデジタル決済市場の独占を弱める目的との見方もある。

なお、デジタル人民元は年内には10都市で試験的に導入される予定だという。

画像:Shutterstock