2021.04.23
23日の暗号資産(仮想通貨)市場は大荒れの展開となっている。
日本時間23日未明、バイデン米政権が年収100万ドル(約1億700万円)以上の高所得者に対し、キャピタルゲイン増税に踏み切るとの一報が要因となった。
バイデン大統領は昨年の大統領選の時点で富裕層の投資収益に対する課税強化を掲げていたため、増税案の発表は時間の問題であったと言える。しかし、現在20%のキャピタルゲイン税を39.6%と、約2倍にまで引き上げる見込みであるということで衝撃は大きかった。
この一報が伝わると米株式市場は急落。一気に警戒感が高まったこともあり、前日比321.41ドル安で取引を終えた。日本においても米株安が重荷となり下落。日経平均株価の終値は前日比167円54銭(0.57%)安の2万9,020円63銭となった。
特に暗号資産市場は今回の一件に大きく反応した。マーケットと言える
米株式市場の急落に合わせビットコインは大きく価格を下げ始めたが、その後も下落の勢い流れは止まらず、ついには5万ドルも下回った。
一時は最大4万9000ドル(約517万円)ほどまで落とし、前日比約10%の下落を記録。日本円にして前日比約80万円の急落となった。
記事執筆時点では5万ドル付近で推移しているが、依然油断はできない状況だ。
ビットコインの急落に連れられ、アルトコインも大きく価格を下げている。
22日に28万5,000円ほどまで価格を上げたイーサリアムも23万円まで下落。さらにリップル(XRP)やビットコインキャッシュ(BCH)、ドージコインなどといった銘柄も前日比で2桁%以上価格を落とした。
今年に入り暗号資産価格は大きく上昇したことで、当然多くの利益を上げた投資家も多い。そういった投資家も今回明らかになったキャピタルゲイン増税の対象となることから、税率変更前の売却を警戒して市場が大きく反応したものとみられる。
ビットコインをテザー(USDT)など他の暗号資産に退避させたユーザーが増加したこともあってか、23日にはビットコインドミナンス(占有率)も約3年ぶりに50%を下回った。
近頃はビットコイン価格が伸び悩みを見せていたこともありアルトコインへの資金流入が顕著となっていた。また、ビットコインのハッシュレートは現在、今月16日頃に中国の大規模停電によって急落した後も戻りが鈍い状況だ。
これはビットコインキャッシュやビットコインSV(BSV)といった、ビットコインから派生した暗号資産の高騰が目立っていたことも起因している可能性がある。原因として、一部のビットコインマイナーが目下好調なこれらビットコインから派生した暗号資産のマイニングに移行したためと考えることもできるだろう。
いずれにせよ、暗号資産市場は急激な変動を見せたことから、今後しばらく不安定な推移が続くものとみられる。引き続き要人発言などを注視し、警戒心を高めておく必要があるだろう。
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