2020.10.21
西インド諸島北部にあるバハマ国の中央銀行(CBOB)が現地時間20日、独自ブロックチェーンベースの中央銀行デジタル通貨(CBDC)、「Sand Dollar」をローンチしたことを発表した。CBDCを正式にローンチした国はバハマが世界初となる。
CBOBは2018年から、バハマドルのデジタル版を独自に発行し、デジタル通貨のエコシステム運用を十分に支えるための決済インフラ構築を目的とした「Project Sand Dollar」を進めていた。
昨年12月にはエクマ島やアバコ島でSand Dollarのパイロット運用をしており、今年10月にもローンチされるとBloombergが報じていた。
バハマ国は無人島も含めて700を超える島からなる諸島で、金融サービスへのアクセスが困難な住民が多数存在している。このような課題を改善するために、決済および金融サービスへの包括的なアクセスを促進し、バハマ全体で金融にかかるコストの削減と取引効率の向上を図るため「Project Sand Dollar」を始めたという。
CBOBは本プロジェクトのために6つの金融機関(Kanoo、SunCash、Cash N Go、Omni Financial、Mobile Assist、Money Maxx)を認可しており、1社を除く全ての金融機関が、現地時間20日から稼働を開始したとのこと。
ユーザーは20日から登録プロセスを進められ、Sand Dollarとe-ウォレットを入手できるという。個人間での送金の他、中央銀行が承認したe-ウォレット端末を用意している店であれば決済の際に利用が可能だ。
現時点でSand Dollarは国内でのみ使用可能とのこと。
またシステムのセキュリティ面では、他要素認証、高度な暗号化プロトコル、強化されたKYC/AML基準を使用することで、既存の決済システムよりも安全性が高いものになるよう設計されているとしている。
最近では中国がデジタル人民元の配布、および実証実験を深センで行うなどCBDC開発に力を注いでおり、G7やEU諸国などでも議論が活発に行われている。
国際決済銀行(BIS)と主要中央銀行が共同で作成した報告書によると、現在世界の約80%の中央銀行がCBDCについて研究しているとの調査結果が出ており、いち早くCBDCをローンチしたバハマの動向は今後さらに注目を集めことだろう。
画像:Shutterstock