2018.11.09
新生銀行は、同月6日、米国ConsenSysとブロックチェーン技術活用を検討するための基本合意に関する覚書を締結したことをプレスリリースで発表した。
ConsenSysは、Ethereumプロジェクトの創設者の一人であるJoseph Lubin氏が2014年に設立したブロックチェーン技術を活用する開発環境を提供する企業である。
基本合意により、新生銀行の業務・サービスにおいて、ConsenSysが持つ分散型アプリケーションや、お互いのインフラやプロトコルを活用する予定だ。
第一弾の取り組みとして、新生銀行が50%の議決権を保有する香港の資産運用サービス専門銀行Nippon Wealth Limitedにおいて、銀行プラットフォームにおけるブロックチェーン技術を活用した業務・サービスの立ち上げに向けた検討を行うという。
金融機関業界では、ブロックチェーン技術の活用が着々と進んでいる。
2016年のIBMによる調査では、2019年までにブロックチェーン技術を採用するとの回答
は世界16か国の大手銀行200社のうち65%もあった。
ブロックチェーン技術を活用すれば、人手のかかる金融業務の大半を自動化できると言われ、時間とコストがかかった国際間の送金もより早くより安く行うことができる。
ConsenSysは、スマートコントラクト機能を持つイーサリアムベースで開発を行っていることから、与信や貸付業務への活用も期待できそうだ。
一方で金融機関が対応する膨大な取引データを滞りなく処理できるか、ブロックチェーン上の金融取引はどの国が法的執行力を持つかなど、実用化に向けて課題も残る。
これらの課題を乗り越え、金融機関業界でブロックチェーン技術が認められる存在となれば、仮想通貨での国際金融が当たり前の社会になるだろう。